先日、農業資材審議会農薬分科会が開催され、農薬取締行政の改革についての議論が行われました。
「農薬行政」ではなく「農薬取締行政」の改革です。
つまり、農業生産現場の現状と将来を考えて農薬行政をどうするかではなく、規制強化を目的に取締行政を改革するものです。
このため、
農業生産現場をよく知る分科会の委員からは懸念の声が出ていました。
委員の懸念に対する農水省からの答えは「欧米がやってるから日本もやる」ということでした。
そもそも農業生産現場を知らない人たちが改革案を作成しているため、このような答えが返ってくるのでしょう。
改革案の目玉でもある再評価制度の導入については、反対するものではありませんが、問題はその進め方です。
大きな混乱は生じないというような説明がなされていましたが、農業生産現場や企業の国内・海外における状況などは全く考えられていません。
今のままの進め方では、将来的に登録農薬数は減少し、マイナー作物だけでなくメジャー作物の防除にも支障が出てくることが予想されます。
また、農薬の価格は確実に上昇し、農業経営者の経営を圧迫します。
さらに、外資よりも国内メーカーが大きな影響を受け、国内市場でも海外市場でも地盤沈下していくでしょう。
机上論ではなく現実論で考えて改革を進めていかなければ、日本農業に大きな痛手を与えかねません。
今後の動きを注視する必要があります。